Railers NETWORK
Report No.01
(6) 札幌〜釧路〜札幌(1998.8.8.)
〜618 札幌 700〜1042 釧路
急行「はまなす」は48分遅れで出発した。しかし夜行列車であり、行程上に余裕がありそうだから遅れを取り戻せそうである。そう思って寝たのだが、ふと目覚めた函館ではほとんど遅れを取り戻せていなかった。その後何回か起きたり眠ったりを繰り返したのかもしれないが、南千歳を過ぎて完全に目が覚めた。何度も乗っている区間なので寝付きも良いようだ。時間はすでに到着時刻であった。札幌には26分遅れで到着。次の「スーパーおおぞら」の発車時刻が迫っている。
実は「はまなす」の到着は5番ホーム。そして「スーパーおおぞら」の出発も5番ホームである。しかし「はまなす」がこんな時間に着いてしまっては「スーパーおおぞら」の出発をも妨げかねない。はたして、「スーパーおおぞら」の出発ホームは隣の6番ホームに変更になった。しかしそれでも列車はまだ入っていなく、発車6分前になってようやく列車が入ってくるという慌ただしさであった。さぞかしホームの売店にはいい迷惑であったろう。
ろくに飲食料を買えずに乗り込んだ人も多いであろうが、無事に発車した。新得までは昼間にも乗ったことがあるので車窓に新鮮味はないが、車両はできたての気動車283系である。これは「スーパー北斗」として登場した281系と同様に、制御つき振り子を搭載してある程度のカーブを速度を落とさずに通過できるもので、最高速度は130キロである。乗っていても気動車であることを忘れさせるスピードである。座席などの車内サービスも高水準で、車内アナウンスも自動放送である。しばらくは車窓より乗り心地を堪能することにした。
乗っている「スーパーおおぞら1号」は南千歳を出ると新得まで1時間以上とまらない。追分、新夕張といった拠点駅を通過するのは初めてなので、これはこれで楽しい。新夕張から新得までは昭和53年に開通し、最近になって「スーパーおおぞら」のために軌道強化したということもあり快調にとばすが、人跡稀なる地帯で駅も少ないし通ったこともあるので車窓に興味がわかない。それでなくても北海道の景色は単調である。人はこの大自然を見てすごいというが、すごい景色もしばらく見ていれば飽きるもので、何かスポットが欲しい。
そのスポットらしいところが狩勝トンネルを越えて、十勝平野に降りていくあたりである。眼下に十勝平野を望む雄大な風景を見ることができる・・・はずだが、この時は車窓を見ていてもそれほどではなかった。以前見たときと反対側の窓だったのかも知れない。もっとも、トンネルが開通する前は狩勝越えは別のルートで、そちらから見る景色の方が数倍良かったらしいから何とも言えないが。
「しんとく」とはアイヌ語らしからぬ地名だが、清らかな水の流れという意味があるそうだ。これには他にも山の肩を表す「シントコ」なのだとか諸説がいろいろあるそうで、アイヌ地名には由来がはっきりわかっていないものが多い。新得町自体はこんなスーパー特急がとまるほど大きい町ではないが、平野の西端であり帯広手前の清水町や芽室町などの人が利用するならとめる価値はある。
車窓が一面山の緑から一面畑作地帯になり、ときどき人家が現れてまた畑作地帯というのを繰り返し、現れる町がちょっと大きいなと思うと高架にあがって帯広に到着した。帯広は2面4線の高架駅になったばかりである。この状態の帯広は初めてだが、後ほど寄る予定なので後まわしだ。列車もあっという間に発車してしまう。大きな駅には余韻を残すのが北海道の汽車だったが、時代は変わった。
北海道ちほく高原鉄道が分岐し十勝ワインで有名な池田にとまり、あとは終点の釧路までこれまた1時間以上とまらない。 この先は後で普通列車でのんびり堪能する予定なので車窓を見るにも気合いが入らない。景色はまた畑作地帯から木々が生い茂る森の景色になる。それほど高いところを走るわけではないが、白樺が生えてたりして寒々しいのでいきなり高原に突入したかのようだ。
そんな景色がしばらく続いたのでうとうとしかけるが、海が見えてくるあたりで俄然元気を取り戻した。不思議なもので、同じしばらく続く景色でも、海となると違う。海に沿う景色は見続けていても飽きない。これは誰しも心当たりはあるだろう。特に根室本線の場合、海が非常になつかしく感じられることが多いだろうから、その気分もひとしおといったところか。
大楽毛(おたのしけ)付近の工業地域を過ぎるとようやく終着の釧路であった。札幌から3時間42分、早くはなったが新幹線「のぞみ」なら東京から広島の手前まで行ってしまう時間である。北海道の広さを改めて感じる。
釧路 1055〜1115 白糠 1120〜1330 帯広
釧路に着くと、隣のホームに「釧路湿原ノロッコ号」がとまっていた。「スーパーおおぞら」が着いたらあっという間に車両は満員になってしまい、乗ってもいいかなと思って揺れていた心をそいだ。やはり普通列車で折り返そう。といっても、今から折り返す普通列車はしばらくなく、白糠まで特急で追いかけねばならない。普通に釧路で降りる乗客に混ざって改札口があるホームに行き、改札口を出ずに、とまっていた「おおぞら6号」にさらっと乗り込んだ。別に悪いことをしているわけではないが、通常あり得ない乗り方なので気が引けてしまう。
この「おおぞら6号」は従来の気動車183系だが、車外塗装もシートもスーパーおおぞらで用いていたものと同型であった。このあたりの細かいサービスが北海道ならではである。北海道には高速バスという難敵がいるため、各列車は高水準のサービスを施さざるを得ない状況になっている。
どの席も一人は座っている状況で、白糠まででは誰かの隣に座ってまでくつろぎたくないので立っていく。デッキにいる分には先程述べたサービスは全く感じることはできないが、北海道の列車で特徴的なのは、デッキにも灰皿があることだ。これは今に始まった話ではないが、こういうときは助かる。北海道は日本で喫煙率が一番だと聞いたような気がするが、それもあながち嘘ではない。
白糠で先行していた普通列車に乗り換えた。フリーきっぷを持っていても少しは普通列車に乗ってのんびり行きたい。車内はいかにも北海道にありがちな、白い頭巾をかぶったおばあさんやらジャージを着た高校生やらが乗っている。
今までとははるかに違うスピードで進行する。これは今までの気動車のイメージそのものだ。さっきの特急もそうだし、東北のJR各線にしても三陸鉄道にしても、新型の気動車が走っていることが多いので、久々に本格的な(?)気動車に乗った気分だ。地元の人にしたら迷惑極まりないのだが。
音別で「禁煙区間はここまでです。禁煙にご協力ありがとうございました。」とのアナウンス。ということはここからタバコが吸えるのか。田舎の駅まで禁煙になる時代にこれは貴重なことで、さっそくありがたく吸い始める。すると向かいの高校生だと思っていたジャージー(北海道には小学校から高校まで、なぜかジャージを着て通学する人が多く、これらを私は総称して勝手にこう呼んでいる。夏でもジャージであるところがすごい。)までもがタバコを吸い始めた。う〜ん、ジャージを着てるからにはせめて高校生だよな・・・。
さっきと同じ風景のはずなのだが、まるで違うものに見える。速度や座っている座席が違うと、外の景色まで変わって見えるから不思議だ。これはこうした大自然に限らず、都会の風景でもそうだ。普段通勤通学で見慣れている景色が、特急に乗ってこれから観光に行こうというときは違って見えるのは、経験したことがある人もいるのではないだろうか。そもそも景色は天気によっても左右されるし、朝と昼過ぎでも違うし、その時の気分でも違う。
本線でしかも特急がかなり走っている線区だから、単線ではもっとすれ違い待避が多いかと思ったが、浦幌と池田だけであった。しかも池田では7分停車だったが、反対側の普通列車も5分停車であった。北海道ではこうしたゆとりのあるダイヤが多い。
池田で禁煙区間終了のアナウンスがあり、車内もそれにあわせるかのように一気にローカルムードから帯広近郊列車に様変わりする。しかし車両が変わるわけではなく(当たり前だが)デッキつき2扉では苦しくなってくる。東北のロングシートもこういう風景を見るとわからなくもないが、デッキによってふさがれている程度なので、ロングシートにまでする必要がないように思える。
途中の駅も町の中心であったりすることが多いからそれなりに乗客が乗ってくる。普通列車に乗っているとこうした利用状態がわかって、大変興味深い。私の場合、列車に乗るイコール日常的一般利用の動向調査みたいなところがあって、どのような利用があるかというのが興味の対象として大半を占める。したがって観光客しか乗らない路線(ましてや鉄道ファンにしか見向きもされない路線)等は興味の対象からはずれる。「乗りつぶし派」の中にはトロッコ鉄道や索道までを入れる人が少なくないが、私の「自己満足的制覇」の対象にはならない。(なかには通勤利用のあるケーブルとかがあって私の頭を悩ませるところだが)要は「乗ってみたい」と思うか思わないかだろうが、このコーナーの頭にある「駅と路線をたずねる旅」というのはそういう意味合いも入っている。その意味では、特急と普通の両方ですべての路線に乗ってみたいし、多くの駅を訪ねたい。この趣味は当分終わりそうにない。今回で北海道は完全制覇のつもりだが、興味が尽きるのはいつのことか。
この区間のバスとの比較とかもやってみたいが、言い出したらきりがない。池田から帯広までは今までに比べたらあっというまで、再び高架の帯広駅にやってきた。
帯広 1538〜1835 札幌〜麻生
最近、各地で「都市連続立体化工事」つまりは高架化工事が行われていて、都市部を高架化すれば当然駅も高架化されるが、その新しくできる駅は素気ないつくりであることが多い。つまり、駅本屋に隣接した1番ホームに、必要があれば付属の0番ホームがあり、2面4線のホームが並ぶ、といったような「黄金の設計」から、「なるべく島式ホームのみの設計」に変わりつつある。大きい駅でありそうな鳥取や宮崎は島式ホームが2本あるだけだし、札幌は片面ホームが当初一番北端にあったが、今はなくなって島式が5本の駅である。阪急宝塚線の対向式ホームも高架化によってことごとく島式ホームに変わりつつある。この帯広も例外ではなく、二つの支線がなくなった今、かつて5番まであったホームはそこまで必要ないらしく、島式ホーム2本の高架駅に生まれ変わった。利用する側からすれば、同方向の列車は同じホームに発着することになるので、便利ではある。
帯広駅の新駅舎はかなり大きかった。駅舎だけは札幌と同じくらいかも知れない。なにしろ東と西に通路があり、それぞれ南北に出口があるから出口が合計4つもある。「帯広駅の写真」はかなりとりにくかった。次の列車を2時間後の「スーパーとかち」に定め、散歩することにして南東の出口を出てそのまま南へ歩いていくと、金沢なら4車線はとれそうなくらいの歩道があった。いくら北海道でもこれは広すぎである。元々あったかどうかは定かでないが、新しいからおそらく新調されたものだろう。
今度は北口に出てみると、駅前は大規模工事中であった。駅前より駅舎が先にできあがるのはよくあることだ。そして帯広郵便局へ向かった。旅先の郵便局で貯金をし、その際空欄になった支出の欄に記念に押印してもらう「旅行貯金」(実は郵便局では旅行をするために貯金するプランをこう呼んでいるので紛らわしいのだが)をするためであった。これはそんなに気合いを入れてやっているわけではなく、こうして余った時間を利用して、町歩きをかねておこなっている。しかし、行ってみると今日は土曜日で郵便局は閉まっていた。気合いを入れてやってないが、せっかく来たのに残念である。しょうがないので本屋に寄ったり、バスターミナルでバスの時刻表をゲットしたりしながら駅に戻った。
帯広名物の「豚丼」(酪農地帯の産物か?)を食いながら「スーパーとかち6号」の改札が始まるのを待ち、ビールを買い込んでホームにあがった。「スーパーとかち」はその名とは裏腹に、特にとまる駅が少なくて速いわけではなく、すごいといえば個室が付いているくらいである。そればかりか、「おおぞら」が「スーパーおおぞら」のシートであったのに、「スーパーとかち」は以前と変わらないものであった。これで「スーパー」なら何が「スーパー」でないのか、悩むところだ。
今日の目的は大方終わったので、後は札幌の親戚の家に帰るのみである。買い込んだビールを飲み、新得を確認するまでもなく眠りこんだ。気付けば南千歳を過ぎたところで、すでに札幌到着時間間近だからまたしても遅れている。結局札幌には18分遅れで到着した。後でわかったことだが千歳線で人身事故があったらしく、一時は1時間遅れもあったらしいから、まだましな方だったのだろう。しかし今回の旅行は物の怪にでも憑かれているのだろうか。ともかく、親戚の家に行くために地下鉄南北線で麻生(「あざぶ」と勘違いされやすいが「あさぶ」と読む。)まで行くと、車で迎えに来てくれていた。
完乗記録
初乗り区間はなし
[01 北海道旅行'98]
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(6) 8.8. 札幌〜釧路〜札幌
(1) 8.3. 金沢〜大垣
(7) 8.9. 札幌〜新千歳空港〜滝川
(2) 8.4. 東京〜山梨・静岡方面〜横浜
(8) 8.10. 滝川〜稚内
(3) 8.5. 京急づくし
(9) 8.11. 札幌〜富良野・旭川〜滝川
(4) 8.6. 横浜〜茨城・千葉方面〜上野
(10) 8.12. 滝川〜焼尻
(5) 8.7. 一ノ関〜青森
(11) 北海道旅行・その後