Railers NETWORK
Report No.01
(10) 滝川〜焼尻(1998.8.12.)
滝川 1025−1040 深川 1107−1206 留萌
さて、いよいよ母方の実家がある焼尻(やぎしり)島へ向けて出発である。
焼尻島は北海道北西岸にある羽幌町の沖合にある島で、すぐ隣には特別天然記念物のオロロン鳥(正式名称はウミガラス)が生息する島として有名な天売(てうり)島がある。焼尻自体は天売ほど目玉商品になるものはひいき目で見ても存在しないが、北海道ではオンコと呼ばれるイチイの木の原生林が有名である。何にしても食べ物はうまいし、自然も勝手に向こうから語りかけてくるくらい豊かで、ここに来て良くなかったと思う人はほとんどいない。私もそう思うから苦労しても毎年焼尻に行こうとする。
そう、ここへ行くには苦労が付き物である。特に内地から来た人は、道内で一泊を要する。まず、焼尻への船は羽幌から出ている。しかしここは国鉄の分割民営化と同時に鉄路が消滅した。従って札幌からの直通高速バス、留萌からの普通バスを利用することになるが、札幌は朝10時のバスでないと最終便に間に合わないし、留萌からバスに乗るにしても、札幌発朝10時の「スーパーホワイトアロー」に乗らなければ、最終便には乗れないのだ。何しろ最終便は羽幌発15時30分である。なお、車で来るなら羽幌港に一日700円という何とも大雑把で安い駐車場があるので便利だ。こればっかりは車利用をお薦めしたい。
私は余裕を見て、一本前の「ライラック」に滝川から乗った。滝川からだと他に中央バスの高速るもい号というのがあり、よく利用するが、留萌での接続が必ず悪く、JRを利用したほうがゆっくりできるし、フリーきっぷもまだ残っている。
滝川から深川へ、たった15分間しか特急に乗らないが、この区間はとにかく普通電車がない。下手なローカル線よりよっぽどない。従って意外と特急利用が多く、これを反映して25キロ以内は特急料金が310円と割安になっている。
深川駅では反対側のホームが留萌線のりばである。列車はまだ入っていなかったが、「ライラック」からの乗り換え客が結構いて、ホーム上にうろうろしている。やがて2両の気動車がやってきた。1両はなぜか締め切りだが、後続の「スーパーホワイトアロー」が到着すると座席は一杯になった。もう1両も開放して欲しいところだが、立っている人はいないし、ワンマンだからこれで良いのかも知れない。
かつて、羽幌線が通っていたころは、札幌からの「はぼろ」や旭川からの「るもい」などの他、夏季臨時「天売観光号」が走っており、滝川からは乗り換えすることなく羽幌に行けた。下り「はぼろ」は沿線住民の札幌帰りに対応して夕方に走るのに対し、「天売」は昼の船に間に合うように朝方に札幌を出発していた。これに滝川から乗車し、深川で旭川からの「るもい」を併結している間に深川名物「ウロコダンゴ」を購入して車内で食べるのがパターンであった。今では留萌線の列車自体が減少し、もちろん深川のホーム売りもいなくなった。そしてこの急行を利用すれば、今より朝は早いが、乗り換えはないから留萌で待たされることはないし、羽幌ではすぐに今より早い船に乗れた。札幌から各地へのの直通バスは多いが、直通バスは飛行機と同様に点と点を結ぶにすぎず、かつての需要は補いきっていない。
留萌周辺は北海道の海水浴のメッカで、深川からの道路は非常に混雑する。これを受けて「深川留萌自動車道」というのが建設中で、ますます留萌線の利用を奪いそうだが、この列車は意外に乗車数が多い。何より特急から乗り換えてきた客(要するにほとんどは札幌からの利用者)が多いのにはびっくりだ。ただ、この時間、私も利用するに踏み切ったのはバスの便が悪かったからで、中央バスがその気になればひとたまりもないかも知れない。
この線は秩父別(ちっぷべつ)、石狩沼田と深川都市圏の客はあまりいなく、留萌方面へ通して乗る人が多いのが特徴である。秩父別、沼田へは中央バスから分社した北空知バスが高頻度運転をしており、中央バスは日本でも有数の低価格設定だから数倍便利だ。
石狩沼田を過ぎると人家がめっきり減り、峠下付近で分水嶺を越えると留萌市内である。しかし人口がそれほどあるわけでもないので、結局留萌まで乗客の大きな流動はなかった。
留萌 1215−1343 羽幌 1530−1625 焼尻
留萌での接続は非常に良い。9分しかない。しかし留萌のバス乗場は「駅前」と言いながら、広場ではなく駅前通りの一つ目の信号を右に曲がってすぐ・・・というところにあり、初めて来たときはどこにあるか分からずに乗り遅れそうになった。今回も接続が良すぎて、もう少し余裕が欲しいが、臆することなくバス停に列も出来ていなかったので一安心だ。
しかし次に乗る幌延行きのバス、駅前発ではなく、留萌市街をさんざん回ってから駅前にやってくる。北海道ではよくあるパターンで、時刻表に何も書いてなくても、始発でないことが多いから注意を要する。案の定超満員で、乗れるかすらも怪しい混雑ぶりである。ちなみにここは羽幌線の廃止で高速バスさながらのデラックス仕様になっているため、混雑には不向きである。
なんとか全員乗り込んで出発。これだけ乗っているが、留萌市内の元町、三泊や小平町内への利用が圧倒的で、地元の人もよく分かっているから私みたいに大きな鞄をぶら下げていると「座りなさい、遠くまでいくんでしょ?」といっておばあさんが声をかけてきたりする。「ええ、羽幌まで行くんですよ」「それなら座ったらいいべさ。私、春日町で降りるから」実際、ほどなくそのおばあさんは降りていってしまったのでありがたく座らせてもらった。いつも小平まで一便増やすとかできないものかと首をかしげる。それぐらい、いつも混雑しているのだ。
留萌市街から一旦海沿いに出ると、とことん海が付きあってくれる。「日本海オロロンライン」とも名付けられている国道をひたすら北上するのだ。さすがにライダーの姿が多い。途中には鰊番屋という鰊漁が盛んだったころの漁師の家を保存したものがあったりする。(実はこれから行く母の実家の昔の家も札幌の開拓記念村の漁師町に保存されていたりする)今ではニシンは来なくなり、昆布やウニ、サザエなど、魚介類は豊富であるが、かつての栄華は見る影もないのが現状である。加えて羽幌は炭鉱町であったので、例に漏れず衰退が激しい。母は羽幌鉄道に乗ったことがあるとか言うが、そんな時代もあったのかと思う。
羽幌はこのバス、沿岸バス(変な名前の会社だが)の本社があるところで、本社に併設された本社ターミナルと羽幌駅の廃駅跡地に出来た羽幌ターミナルがある。設備は後者が圧倒的に良いが、場所は前者が圧倒的に便利である。はっきり言って後者は無駄の極致なのだが、これがなくては羽幌線の影も形もなくなってしまうようで寂しい気もする。
バスは廃駅跡地にわざわざ行くくせに港には行ってくれない。これのほうがよっぽど問題で、案の定、誰かが「港はどこですか?」と道行く人に聞いている。本社ターミナルから結構歩かされるのでさぞかし不便に感じたことだろう。こういうことをしているから車に客を取られる一方なのだ。
次の船(といっても最終便だが)まで相当時間があるが、次のバスだとどう頑張っても間に合わないので仕方がなく港で時間を潰す。実は羽幌にも親戚がいて、家族で来たときは寄って時間を潰したりするが、独りなので今回はわざわざ行く気がしない。
羽幌から焼尻・天売までは、かつては「天羽丸」「第三天羽丸」という二隻の船によって夏季一日四便運航されていたが、数年前に一隻を高速船に改造、一隻をフェリーに改造した。高速船は約半分の時間に短縮したが、運賃が倍になってしまった。島の人も使わないくらいで、結局近い将来なくなるらしいが、ともかく私もフェリーに乗る。しかしフェリーは一日三便しかなく、つまるところ以前より不便になった気がする。
船旅というのは、鉄道より非日常的であるせいか、より郷愁を誘う。しかもこの船には始発から終点までかもめがついてくる。さらにこのかもめはかっぱえびせんを投げてやると、タイミング次第で空中キャッチする。実は我が家族が冗談で始めたのだが、あまりに見事なもので、いつのまにか港の売店にはかっぱえびせんが常駐されてかもめの好物とかいって売りだし、すっかり定番になってしまった。しかしこの日は乗客が少なく、これで遊ぶ人はあまりいなかった。
晴れていれば右舷遠くに利尻富士が見えるが、今日はあいにくである。それ以外のスポットははっきり言ってないが、海というのは何もなくても暇を潰せる代物である。そのうちに島が近づいてきてあっというまに船旅は終わってしまう。焼尻港には先着していた例の横浜の叔母(焼尻出身)が迎えに来てくれていた。
焼尻をはじめ、羽幌町から観光案内のホームページが発信されている。興味のある方はぜひ一度ご覧になってください。
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羽幌町ホームページ
[01 北海道旅行'98]
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